結局、何が言いたかったんでしょうね。

モノレールに乗りながら、

「今、大地震が発生したら即死だろうな」

などと物騒な事を、昨日の会社帰りに考えていたのですが・・・・

もし、大地震が起きた場合どうなるんだろう?と想像して

1.大地震
2.避難
3.水、食料の確保
4.寝床の確保

などと想像していくうちに、こんな考え方が思い付いたのです。

あ、今回は笑い無しです。
今までも笑えてねぇーよ、ってツッコミは勘弁してください。

以下小説形式です。
これを書いている時は、何故か尾崎豊の「シェリー」が脳内で流れていました。



 あと10km程、歩いた場所に在ったと思う。
 礼一は自分を鼓舞するように、しかし笑顔を作れずに叫んだ。

 「皆、後1時間くらい歩けば着くぞ。」

 礼一の後ろを着いて来る4名の友人達は、痛々しい顔を礼一に向けるだけであった。
 彼らは大学のサークル仲間だ。
 初めて会った時から、まるで幼い頃からの友人のように、朝から晩まで遊んだ。

 切り裂く音と共に襲ってきた大地震。
 発生したのが約27時間前。左腕の時計を確認する礼一。今は15時24分。

 現在、礼一達が向かっている先はA山の麓だ。礼一の両親が遺した財産の一部で建設していた避難施設だ。
 土地を買い、地下5mに20畳程の耐震構造を備えた部屋を設け、向こう一ヶ月分の食料と水を保管していた。
 地球滅亡系の映画を観て礼一は怖くなり、業者に委託して造らせていたとは、恥ずかしくて誰にも打ち明けられない秘密だ。
 避難施設までの道は地割れ、隆起、河川の決壊などの原因により、まともに歩くのすら困難であった。

 「着いた。」

 礼一の声に皆の表情が明るくなる。
 広い平野にぽつんと立っている、丁度工事現場にある便所を少し大きくしたような建物の扉の鍵を開け、礼一達は中に入っていった。

 自家発電のバッテリーから供給されているはずの電力を受け、白熱球は光った。
 部屋のフローリングには埃が被っている。奥にはさらに部屋があり、それは食料と水を保管している保管庫だ。
 電力は節約しなければならないが、部屋の淀んだ空気にむせ、空調をしばらく点ける事にする。

 「女は部屋の掃除をしてくれ。男は外に調理器具を運ぶんだ。」

 保管庫の中にあった体育館を拭くモップを手に、礼一が友人達に言った。

 外にテーブル、イス、バーベキューセット、1本の照明を設置した頃には日が暮れて完全に夜となっていた。部屋の掃除も終わったようだ。
 人数分の味噌汁と白米を皆で用意し、皆で食べる。

 「礼一、ありがとう。」
 
 空腹を満たして安心したのか、祥子が礼一に礼を言った。それにならって、他の3人も口々に礼を言う。

 友人達は皆、昨日の地震で家族を失った。
 礼一は途方に暮れている友人を集め、自分の避難場所に招き入れる事を決めた。
 食料と水は一人分で1ヶ月は持つが、5人となれば節約して1週間持つかどうかだ。
 再度、大きな地震が来た場合、1週間分では足りないかもしれない。もっと節約すべきだ。
 礼一が今後の事を考えていると、健太が何かに気付いたように言った。
 
 「おい、誰か来るぞ。」

 礼一が振り返ると、何名かの大人の影がこちらに向かって来ている。
 謂れの無い不安が沸いて、礼一はその影に声を掛けた。

 「あの、どちら様ですか。」

 「脅かしてしまって申し訳ない。」

 1本の照明に引きずり出された影の正体は、2,3の家族のようだった。10名は居るだろうか。
 その中の父親らしき人物が話を続ける。

 「あんた達はどこからきた。」

 何か怒られているような気がして、礼一は自分達の成り行きを簡単に説明した。

 「そうかい、それで食べ物も持っているんだな。」

 父親は納得した表情でうなずいた。
 と、突然ヒステリックな声があがって、

 「すいません、この子にご飯を分けてくださいませんか。」

 今度は母親らしき人が4,5歳くらいの男の子を抱えて言った。
 どうやら、昨日の地震で食べる物に困っているらしい。
 恐らくここに来た家族すべてがそうなのだろう。
 そして、礼一は言った。

 「だめです。」

 礼一の周りがざわめく。友人達もだ。
 さらに母親が声を張り上げる。

 「どうして。」

 「申し訳ありませんが、食料があまり多くは無いのです。」

 落ち着いた声で礼一が説明すると、母親は

 「こんに小さな子なのに」

 礼一は少しムキになって言う。

 「こういう場合、小さな子供に食べ物を与える方が正しいと言うのですか。」

 「そうよ。」

 母親に、礼一は問う。

 「それでは貴方は、余命1年のおじいさんを殺して小さな子供を助ける事も正しいと言うのですか。」
 「命の価値を、残り時間で測るのはおかしい事だと思います。」

 礼一が静かに呟く。
 母親が先ほどとは違い、自信なさげに言う。

 「まだ、食料はあるんでしょう。少しくらい分けてくれたって。」

 「私は正しい事をしたいとも、悪い事をしたいとも思っていません。ただ、大切な友人を助ける為に最善の努力をしたいだけです。今ここで食料を分けてしまう事は、最善の努力とは言えません。」

 白熱球のチリチリという音と、場違いな鈴虫の鳴き声だけが漂う。
 すると、祥子が立ち上がり、自分の味噌汁を持って母親の前で差し出す。
 母親は喜び、自分の息子に食べさせる。
 そして祥子は振り向き、礼一に言い放った。

 「そんな最低野郎だとは思わなかったよ。」

 礼一は黙る。

 「そうか。」

 祥子に最低野郎と呼ばれ動揺する。心が振動する。
 礼一は祥子が好きだった。

 「それで、どうするんだ。」

 声は震えていなかっただろうか、と心配する礼一。

 「食料を配る。」

 祥子の発言に家族の群れがざわめく。中には黄色い声も。

 「俺は大切な友人だから少ない食料を分けたんだ。」

 礼一が話し出すと、家族の群れは黙った。
 胸の内が困惑と恐怖で荒れ狂っていたが、礼一はのど元でそれらを抑えて声を出す。

 「俺の事を最低呼ばわりするヤツを大切な友人だと思わない。少なくとも命綱の食料を分けたいとは思わない。」

 「友達が間違った事をした時は叱り飛ばすわよ。」

 しかし、礼一はこらえ切れず泣き叫んでしまった。

 「今の俺達の現状を冷静に考えて、これからの俺達の行動を慎重に考えて、それで俺の事を『最低野郎』と罵ったのか。」

 これまでの地震の恐怖と友人を背負う責任が、涙と一緒に流れ落ちる。

 「大切な友人を助けたいと思うのは最低な事か。漂流中、家族の分しかボートのスペースしかないから他の漂流者を見捨てる事は最低な事か。最低って何だ。これ以上無い程の最低な行為の事だ。俺はそこまでの事をしたのか。お前は俺の事を『最低野郎』と罵ったが、俺は最低な事をしたのか。感情に任せて『最低野郎』と罵ってはいないと言えるのか。」

 テーブルに自分の顔面を擦り付け、礼一は嗚咽を上げた。

 縮こまる礼一を前に、家族の群れも、祥子も、友人達も、誰も動けずにいた。





あ、いえ。落ちは無いですよ?!!

ただ、モノレールに乗っていた時に思い浮かんだんで。

しっかし、俺が礼一の立場だったら、祥子の立場だったら、母親の立場だったら、最後に何て発言するんでしょうね。

う~~、むずかしい。

皆さんなら、何て言いますか?

これを書いている時は、何故か尾崎豊の「シェリー」が脳内で流れていました。

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